
NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンド(理事長:中村維夫、以下「MCF」)は、第11回ドコモ・モバイル・サイエンス賞の募集を2012年2月1日(水)より開始いたします。
MCFは、NTTドコモ創立10周年記念事業の一環として、NTTドコモグループとしての社会貢献活動を全国規模で実施し、21世紀の情報化社会における情報通信・移動通信技術の発展とともに豊かで健全な社会の実現に寄与することを目的に、2002年7月に設立された特定非営利活動法人です。
MCFでは、情報通信技術および移動通信技術の発展と、次代を切り開く意欲的な若手研究者の育成に寄与することを目的に、2002年「ドコモ・モバイル・サイエンス賞」を創設し、褒賞事業を実施しております。
この賞は、「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の3部門について、50歳未満の若手研究者などを対象に移動通信に関する優れた研究成果・論文の募集を行い、厳正な審査により表彰を行うものです。
第10回目の授賞式を、2011年10月21日(金)に東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京にて開催いたしました。文部科学省 研究振興局 局長の倉持隆雄様、NTTドコモ 代表取締役副社長 松井浩様など多数のご来賓をいただきました。ありがとうございました。
多数の応募業績から選ばれた4名の受賞者に、喜びの声をお聞きしました。

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情報社会においては、著作権を的確に保護する、安全で利便性の高いコンテンツ配信サービスが求められます。
小川氏は、モバイル端末でも利用可能な著作権保護技術を開発・実装し、その実現可能性を示されました。これにより放送業界から初の受賞となりました。
猿渡氏の独立成分解析(ICA)は、2008年に警察備品にも採用されるなど理論提案にとどまらず実用化・商品化を行っている点をとくに評価しました。今後は福祉機器などへの聴覚的な活用が期待されます。
石井氏は、個人情報保護法の立法過程を重視し、現実的課題解決に取り組まれています。従来の法解釈や判例分析の枠を越えて、法の成立過程に集中するのは新しい試みといえます。
和久井氏の研究は、日米欧での技術の標準化とそれに伴う特許などの問題へ実証的にアプローチしたもので、国際的な事業者が特許に関する戦略を練る際の参考となりえるものです。
各受賞者のさらなるご活躍を祈念しております。

NPO法人モバイル・コミュニケーション・ファンド(略称:MCF、理事長:中村維夫)は、情報通信および移動通信分野の発展と時代を切り拓く意欲的な若手研究者の育成に寄与することを目的に、2002年「ドコモ・モバイル・サイエンス賞」を創設し、優れた研究成果・論文等の業績に対し褒賞を実施しています。
このたび、「第10回ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の3部門に応募いただいた研究業績の中から、「先端技術部門」「基礎科学部門」の2部門において優秀賞、「社会科学部門」において奨励賞の受賞者を決定しましたので発表いたします。
なお、10月21日(金)午前11時からANAインターコンチネンタルホテル東京において、授賞式を開催いたします。
| 先端技術部門 | |
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| 優秀賞 | NHK放送技術研究所 研究企画部 チーフ・エンジニア 小川 一人(オガワ カズト)氏 |
| 応募業績 | 「著作権保護と利用者の利便性を両立させるコンテンツ流通用セキュリティ技術の開発」 |
| 授賞理由 | 小川氏は、コンテンツ配信に必要となる著作権保護技術に関し、処理能力に限界があるモバイル端末でも利用可能な、利用者が持つ秘密鍵に利用者を特定できる機能を付加することで秘密鍵の不正利用を抑止する安全な暗号方式、さらに、秘密鍵から有効期限付きの一時的な秘密鍵を生成し利用者の責任で配布できる利便性の高い機能を持つ暗号方式を開発した。理論的には、離散対数問題と多次元多項式問題を数学的に合成し、公開鍵暗号機能に不正利用者追跡機能を付加した一つの暗号方式を発案した。また、不正利用者を追跡できる確率の理論限界を求め、その限界に近い能力を有する符号を開発した。さらに、理論的研究や符号の提案だけでなく、その実現性を示すため、特定アプリケーションで実装し、実現可能性を示した。これにより、モバイル端末によるデジタルコンテンツの円滑な配信サービスの普及が加速する可能性が期待される。2008年に電子情報通信学会論文賞を受賞するなど学問的貢献も認められ、その成果は、ドコモ・モバイル・サイエンス賞先端技術部門の優秀賞にふさわしいと考えられる。 |
| 基礎科学部門 | |
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| 優秀賞 | 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 准教授 猿渡 洋(サルワタリ ヒロシ)氏 |
| 応募業績 | 「ブラインド音源分離に基づく自律的な音声情報通信インターフェイスの先駆的研究」 |
| 授賞理由 | 猿渡氏は、本来統計解析の理論であった独立成分解析(ICA)と空間音響学の関連を、世界で初めて明確化した。ICAの数理物理的な動作原理を解明して、極めて歪みが少ないICAアルゴリズムを提案し、音の空間情報を保持したまま各音源を分離抽出することに成功。 汎用のDSP上で動作するリアルタイムブラインド音源分離モジュールを開発した。具体的には、音の種類や位置、音響空間等に関する一切の事前情報がない状態において、マイクで観測される混合信号のみから個々の音源信号を分離抽出することに成功した。これにより、世界に先駆けてICAの実用化・商品化に成功し、2008年には警察備品に採用された。また、国際・国内会議発表や招待講演が多数あり、論文誌への論文も、5年間で29件に上る。電子情報通信学会論文賞、IEEE IROS2005のBest Application Paper Award、IEEE MLSP2007の世界音源分離コンテスト一等賞など各種学会の論文賞やその他の受賞も多く、学問的貢献も大きい。その成果は、ドコモ・モバイル・サイエンス賞基礎科学部門の優秀賞にふさわしいと考えられる。 |
| 社会科学部門 | |
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| 奨励賞 | 筑波大学 大学院図書館情報メディア研究科 准教授 石井 夏生利(イシイ カオリ)氏 |
| 応募業績 | 「プライバシー・個人情報保護法に関する総合的研究」 |
| 授賞理由 | 石井氏の業績は、日本における個人情報保護法の現状と将来展望について、背景となるプライバシー権の歴史的変遷と、英米での判例法的展開を詳細に検討した大部の著作(2008年)、および、その後今日までの論文7篇を含む労作である。個人情報保護法の制定に向けては、高度情報化社会におけるさまざまな個別事象にも着目し、検討していく必要があるが、受賞者は、国際的な動向を考察し、グローバル・スタンダードを考慮している。とくにその立法過程を重視することによって、現実的課題解決に取り組んでいる点は高く評価できる。従来、法律学者の研究は、すでに制定された法律の解釈および判例の収集と検討を中心にしてきたように思われるが、受賞者は、現に流動している事象についての立法過程そのものを扱っている。従来からの法解釈や判例分析の枠を超えて、立法に至る関連主体間のダイナミックな関係や技術的問題の提起など、法の成立過程に集中するのは新しい試みである。著書刊行後から今日まで次々と生起し、またクローズアップされた諸問題についても、つねに一貫して法学的検討を加えている努力も評価したい。 |
| 奨励賞 | 大阪市立大学 大学院法学研究科 特別研究員 和久井 理子(ワクイ マサコ)氏 |
| 応募業績 | 「情報通信分野における標準化と知的財産をめぐる法政策」 |
| 授賞理由 | 和久井氏は、最近クローズアップされている「技術標準」をテーマとして、まず「標準」と「標準化活動」を区別する。そこに作用するさまざまな法規制、つまり、情報法、独占禁止法、知的財産法、国際取引法など、事業者に対する規制、情報通信規制のあり方に関する法的問題について、日米欧の豊富な事例をもとに、学際的な視点から整理している。 また、必須特許とライセンス拒絶規制、標準化機関の特許等取扱方針、パテントプールなどのトピックについて、日米欧それぞれの法的取り扱いの根拠や適用例について、実証的アプローチでまとめた労作である。この研究書は、国際的に事業を行う企業が、それぞれの国で特許に関してどのような戦略を取るべきかの指針として利用することができる基準的参考書となるであろう。ただし、昨今の「無償ライセンス化」を方針とするネット上のプラットフォーム・ビジネスなどへの消極的姿勢は惜しまれる。 |
このような素晴らしい賞をいただけて光栄です。
私の研究は著作権保護をメインのターゲットとしてきました。これまでは放送のことだけを考えていればよかったのですが、ネットの回線や端末、発信者も多様化するなかで、新たな著作権保護を創っていかなければいけません。NHKでは放送と通信を連携させるハイブリッドキャストというサービスを研究しており、その中で著作権がどのように必要とされ、活用されるのか、私たちの研究課題となっています。かなり広い分野をカバーしなければならず、いろいろな方のご協力がなければできません。
今回の賞についても、推薦者の先生をはじめ、数式が並ぶ不可解な研究を支えてくれた方がたくさんいました。そういった方々のおかげで私の研究成果があると思っています。ご支援くださった方のためにも、また、この栄誉ある賞を汚さないためにも、よりよい研究を続けていきたいと思います。