[活動に至る背景]
大阪市は人口に占める外国人住民の割合が約4.6%(2016年9月時点)と政令指定都市の中で最も高い。大阪市の繁華街・ミナミにある大阪市立南小学校には、15カ国を超える様々な国籍の子どもが在籍しており、全校児童の約4割が外国にルーツを持っている。中には日本語での学習に困難を抱える子どもや、保護者との時間が持てずに夜間一人で過ごす子どもが見られた。このような状況の中、南小学校から相談を受けたNPO法人関西国際交流団体協議会を中心として、外国人支援団体や小学校、大学、日本語教育を担当していた元教職員などによる実行委員会を2013年5月に発足し、学習支援と居場所づくりの取組を開始した。
[活動状況]
Minamiこども教室実行委員会では、放課後学習支援教室「Minamiこども教室」を2013年9月より実施しており、大阪市立南小学校に通っている子どもを中心に約40名が参加している。学習はボランティアによるマンツーマンで行われ、学校の宿題の補助や日本語の基礎的な学習を行っている。子どもの放課後の居場所づくりという目的から、実施時間は夜間とし、迎えに来られない家庭の子どもは自宅まで送り届けている。通常の学習のほか、社会教育・活動の場として課外学習(料理教室、クリスマス会など)も行っている。また保護者へのヒアリングにより母国語や日本語の習得状況等について把握した上で、子どもの状況に応じた支援を行っている。
[成果(アピールポイント含)と反省点]
本活動による成果は、参加する子どもが学校で他の子どもを誘う姿も見られるなど、外国にルーツのある子どもたちの居場所と学習拠点になっていることである。
教室で子どもの指導を行うボランティアは公募しており、幅広い年齢層が参加している。これまでにメディアでも複数回取り上げられ、それにより多様な見学希望者からの問い合わせが多くある。毎月見学会を実施し、活動の背景や目的などを説明し、教室の様子も見学してもらい、その後のボランティア登録につなげている。見学会に訪れた人々に、本活動を知ってもらうことで、外国にルーツをもつ子どもたちの存在と、本活動の背景にある社会課題の認知や啓発にも繋がると考えられる。
一方、ボランティア登録数は増加したものの、毎回参加できるボランティアは少なく、今後は継続して活動できるボランティアを育てていくことが必要である。そのためボランティアには外国人の子どもが抱える課題や指導にあたって必要なことの説明や研修も実施している。
日本語学習の取り組みでは、2015年度からは絵本を通じた対話型日本語学習支援活動「Minami Fun time」を実施している。さらに学習活動以外にも多様な課外活動プログラム(料理教室や遠足、演劇鑑賞、ダンスなど)への参加の機会を設けている。それにより子どもたちの豊かなで楽しい時間を創出しており、大切な居場所となって新たに加わった子どもたちも継続的に参加している。