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ドコモ・モバイル・サイエンス賞

移動通信・情報通信の研究開発等の業績に対する褒賞事業

Winner / Ceremony

第22回(2023年)

このたび、「第22回ドコモ・モバイル・サイエンス賞」の3部門に応募いただいた研究業績の中から、選考委員会(選考委員長:東京大学名誉教授・羽鳥光俊氏)での厳正かつ公平な審査の結果「先端技術部門」「基礎科学部門」「社会科学部門」の優秀賞の受賞者を決定しましたので発表いたします。

先端技術部門の受賞記事です

優秀賞異種材料集積シリコン光集積回路および光情報処理応用に関する 研究

東京大学 大学院工学系研究科 教授
竹中 充(タケナカ ミツル)氏

授賞理由

異種材料を集積したシリコン光集積回路の研究、および、シリコン光集積回路を深層学習などの光情報処理に応用する研究において成果を挙げてきた。

これにより消費電力の低減、動作速度の高速化といった大幅な性能向上に寄与し、次世代シリコン光変調器の実現可能性を示した。技術の新規性・革新性は大きく、また課題解決のアプローチとしても優れており、成果は学術的に高く評価されている。

光通信への応用に直接貢献するだけでなく、深層学習や量子コンピュータ等への光情報処理応用にも資するものとして期待が大きい。

光通信の更なる革新・超高速化実現のための大型プロジェクトも複数進行させ ており、本研究の発展は社会的要請にも応えるものである。

基礎科学部門の受賞記事です

優秀賞高信頼な適応信号処理アルゴリズムの開発と応用

慶応義塾大学 理工学部 教授
湯川 正裕(ユカワ マサヒロ)氏

授賞理由

複数の特徴空間を同時に利用することで複雑な非線形関数を効率的に推定する適応学習パラダイムを世界に先駆けて提案した。

さらに近年、同手法を発展させた効率的な適応アルゴリズムの開発に成功すると共に、「最適解への収束」と「超ロバスト化」を同時に実現する数学的枠組みの構築を行った。

これらによって、突発的な外乱の際にも高い品質を維持可能な、信頼性の高い無線通信システムの実現に大きく貢献した。

GPUを用いた実時間システムで効果が実証され、またIoT・AI技術への波及効果も期待されるなど、産業・社会への貢献が認められる。

社会科学部門の受賞記事です

優秀賞「つながり」から読み解く社会的・経済的行動のメカニズム

神戸大学 大学院経済学研究科 計算社会科学研究センター 教授
小林 照義 (コバヤシ テルヨシ)氏

授賞理由

RFIDセンサによって収集された社会ネットワークデータの解析およびそれを説明する理論の構築を行い、統計的に有意な二者関係を抽出する検定法を開発した。

この手法は汎用性が高く、対人関係に限らず動的ネットワークに広く応用可能である。

実例として、親密な取引関係にある銀行群を統計的検定で抽出することに成功した。また、プライバシーに配慮した集計データのみを用いて、人々の接触密度の変化をもたらすメカニズムを同定する手法も開発した。

統計的に有意な二者関係を抽出する試みは過去にもあったが、学校や職場のような常に関係性が変化する実社会の多くの場面では適用が難しかっただけに、動的ネットワークを対象とする本研究の価値・独創性は大きい。

感染症対策やSNS上の偽情報拡散の制御への適用のほか、「つながり」を通じて発現する様々な社会問題に今後広がりを持ちうる。産業・社会への更なる貢献、他の研究への波及効果に期待する。

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